にじが丘動物病院

フィラリア症を正しく理解しましょう!

掲載日2011.06.22

フィラリア症とは?

心臓や肺動脈に細長いそうめん状の腺虫(フィラリア)が寄生して、循環器障害、呼吸障害、腎肝疾患などを引き起こします。フィラリアは成虫になると長さが17cm~35cmにもなることがあり、ひどい場合は何百匹と寄生することもあります。

ほとんどは無症状のうちに病気が進行し、物が詰まったような咳をする、疲れやすくなったなどの症状がでた時には、かなり障害が進んでいて死に至ることもある恐ろしい病気です。

 

フィラリア症はどのように感染するのか?

フィラリアに感染している犬の血液を吸った蚊が他の犬を刺すことにより感染します。犬の体内に入ったフィラリアは、最初の12ヶ月の間は皮下組織や脂肪組織内で成長し、静脈内に進入してからは徐々に心臓へ移動します。心臓に移動してからは肺動脈で成長し、約6ヶ月で成虫になります。成虫になったフィラリアはたくさんのフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)を生みます。

このミクロフィラリアを吸血した蚊がまた他の犬を刺すことにより、フィラリアは広がって行く事になります。つまり、感染している犬がいる限りフィラリア症は無くならないのです。

 

症状

 心臓の働きが弱くなることにより様々な症状が発生します。症状が軽いときは咳を時々するくらいですが、症状が重くなると咳がひどくなり運動を嫌がるなどの症状を示し、お腹に水が溜まったり、失神したりすることもあります。また、フィラリアの寄生する場所、成虫の数、犬の体格などによっては急激に体調が変化し死に至る事もあります。

〈主な症状〉

     物が詰まったような咳をする

     食欲が無くなる

     運動をしたがらない

     体重が減る

     毛艶が悪い

     口・目などの粘膜が白っぽい

     尿が赤みを帯びる

     腹水が溜まる

 

検査

 フィラリア症かどうかは、血液の抗原検査によって診断します。採血後10分ほどですぐに診断できます。

 

治療方法

 駆虫薬でフィラリアを殺す方法と手術で摘出する方法があります。駆虫薬で殺す方法は、心臓に寄生しているフィラリアをいっぺんに殺してしまうので、フィラリアの死骸が血管に詰まってしまいショック状態や梗塞を起こす危険があります。また、手術で取り除く方法は麻酔下で行いリスクも高い処置方法となり、いずれにしても危険がともなう治療となります。

 

予防

愛犬をフィラリア症から守るためには蚊に刺されないことが一番ですが、それは無理な話しです。結局は寄生した幼虫を殺す薬を飲んでおく事で予防するしかありません。現在、主流となっている予防薬は月に1回飲ませるタイプです。蚊の発生時期から蚊が見られなくなる1ヵ月後まで毎月予防薬を飲ませることにより、フィラリア症は予防できます。地域によって蚊の発生する時期が違っているため多少の前後はありますが、5月頃~11月下旬が一般的です。

フィラリア症は恐ろしい病気ですが、薬でほぼ100%予防できます。かわいい愛犬のためにも毎年フィラリア予防を忘れずにしてあげましょう。


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